プライドパレードについて

 「プライド(Pride)」という言葉は、ご存じのとおり、英語の「誇り・矜持」を意味する一般名詞なわけですが、それだけでなく、LGBT[*1]をはじめとする「セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)のパレード」を指すものとして、広く国際的に認知されています。

 欧米諸国をはじめ世界の主要な都市では、この「プライド」と称されるパレードが毎年恒例の行事として開催されています。中には、ニューヨークやサンパウロといった、200万~300万人の動員を記録する巨大な規模のものまであります。

 今や世界各地で開催されている「プライドパレード」ですが、そのきっかけとなったのが、ニューヨークで起こった「ストーンウォール事件」でした。

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ストーンウォール事件

 1969年6月28日午前1時20分頃、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ地区にある「ストーンウォール・インStonewall Inn)」というゲイバーに警察の手入れが入った際、その場に居合わせた同性愛者たちがそれに抵抗し、暴動を起こしたのでした。

 当時のニューヨークでは、同様なゲイバーへの踏み込み捜査が頻繁に行われていました。しかし、それまでは警察に従順であった同性愛者たちが、この日ばかりは果敢に抵抗し、「ストーンウォール事件」として、その後のゲイ解放運動、セクシュアル・マイノリティの人権運動への転換点として、その名を歴史に残すことになりました。

 その背景には、ゲイ・アイコンとして同性愛者に絶大なる人気を誇っていた女優、ジュディ・ガーランド[*2]の存在があったと言われています。事件直前の6月22日に彼女が急逝し、27日にはストーンウォール・イン近くの教会で葬儀が行われました。その夜、店内は彼女を悼む感傷的な空気に包まれ、そんな中での、日付が変わって28日深夜に行われた警察の強引な手入れ。そのあまりに無神経な仕打ちに、居合わせた人たちの怒りは沸点に達し、逮捕者も出るほどの暴動に発展していったのでした。

 そして翌1970年6月最終日曜日、「ストーンウォール事件」の1周年を記念するデモ行進が、ニューヨークをはじめアメリカ各地で行われ、それがその後、毎年恒例となり、さらに世界中に広がって、現在まで続く「プライドパレード」につながっていきました。

 6月にプライドパレードの開催が集中し、6月を「プライド・マンス(プライド月間)」と称するのも、こういう歴史があるからなのです。

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左:現在の「ストーンウォール・イン」/右:2013年6月29日(土)、パレード前夜で盛り上がる「ストーンウォール・イン」。

[*1]LGBT:Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)。

[*2]ジュディ・ガーランド(Judy Garland/1922~69):『オズの魔法使』(1939年)のドロシー役で大ブレイク。彼女が歌った劇中歌「Over the Rainbow(虹の彼方に)」は、今ではプライドパレードやLGBTイベントでは欠かせないシンボルソングとなっている。自身バイセクシュアルでもあり、ゲイ・アイコンの代表的存在として現在もリスペクトされている。娘もゲイ・アイコンとして名高い、女優のライザ・ミネリ(『キャバレー』でアカデミー賞主演女優賞受賞)。

参考映像

『Stonewall Uprising』(2010年米)というドキュメンタリー映画の劇場用予告編

『Stonewall Riots of 1969』 と題され編集された映像資料

ジュディ・ガーランド「Over the Rainbow」(映画『オズの魔法使』より)